こんにちは、フリーランスのちひろです。
本日のテーマは “日本語教師” です。
私は現在、オンライン日本語教師として活動しています。
新人時代は “来るものこばまずの精神” でどんな生徒ともレッスンしていました。
しかし、教師歴1年になったいまでは生徒をえらぶようになりました。
えらそうになったものですね。
でも、生徒をえらぶとノーストレスで仕事ができるメリットもあるんですよ。
教師と生徒にもやはり相性があります。
相性がよくないのに無理してレッスンをつづけていると、いつか仕事がいやになります。
つめたい人間だと思われるかもしれませんが、私は “自分が楽しくはたらけるかどうか?” という観点を大切にしています。
ですので、楽しい授業ができないと判断した生徒からのレッスンリクエストはおことわりします。
今回はそんな体験談をシェアしていきます。
レッスンリクエストをおことわりした生徒
基本的に、どんな生徒とも数回はレッスンしてから判断するようにしています。
初回のレッスンでは生徒の緊張もあるせいか、相性はわかりにくいです。
しかし、なんどか授業をするうちに相性はハッキリしてきます。
そうすると “この生徒とのレッスンは気乗りしないな…” と思える生徒がでてくるのです。
もちろん、数はおおくありません。
9割以上の生徒がまじめにレッスンを受けてくれているので、私も全力でサポートします。
けれども、そうでない生徒からのレッスン追加リクエストはおことわりしてしまいます。
以下ではレッスン依頼をおことわりした例をご紹介していきます。
会話をつづける努力をしてくれない生徒
日本語学習者のなかには、すでに日本語レベルが上級の生徒もいます。
彼らは習得した日本語を忘れないようにレッスンを受けます。
そこでレッスンは会話練習がメインになります。
そんなとき、受け身で趣味がすくない生徒だとかなり苦労します。
私「なにか話したいトピックはある?」
生徒「なんでもいいです」
私「レッスンの前はなにをしてたの?」
生徒「なにもしていませんでした」
私「最近、なにか気になるニュースはあった?」
生徒「ニュースは見ないです」
とまぁ、こんなふうに地獄の問答がつづきます。
相手が私になにか質問してくれることもありません。
「これでもか!」というくらい受け身なのです。
最初のレッスンは彼のゆいいつの趣味だというアニメの話をして乗りきりました。
この生徒からは二度とレッスンの申しこみは入らないだろう、と予想しました。
なぜなら、会話が盛りあがったようには思えなかったからです。
でも、こういう生徒にかぎって5レッスンくらい先々の授業を予約してくれるんですよね…。
2回目、3回目のレッスンも大変でした。
家族の話をしようとするも、仲がわるいから話したくない。
学生時代の話はどうかと思えば、いじめられていたので思い出したくない。
そんなふうに、なにかとNGトピックがありました。
私がアニメにくわしければ、そこでもっと話をひろげられたかもしれません。
けれども、あいにく私は専門外です。
写真やイラスト、そのほかの教材で授業の切りくちを変えてみたりもしましたが彼の消極的な態度は変わりませんでした。
正直なところ、もうお手上げ状態になってしまったんですよね。
私には彼の日本語力をのばすサポートはできないと判断して、それをそっくりそのまま生徒に伝えました。
かんぜんに私の実力不足ですね。
また、会話練習のレッスンが楽しくできるのは生徒の努力あってこそなのだと実感しました。
教師への敬意が感じられない生徒
ある程度のレベルで日本語が話せるようになると言語力の進歩を実感しにくくなります。
実際に日本で生活すると劇的にのびたりもします。
しかし、週に数回オンラインで30〜1時間話すだけでは限界があります。
アメリカに、私のレッスンを毎週受けてくれている生徒がいました。
とてもまじめな生徒でレッスンの時間外では、漢字やむずかしい文法、読解を自分で勉強していました。
その生徒はある日、こう言いました。
「こんなにたくさん勉強しているのに、日本語力がのびている気がしません」と。
彼とのレッスンでは私なりに毎週トピックがかぶらないように気をつけたり、ボキャブラリーのレベルをすこしずつあげるように工夫したりしていました。
ですが、彼はのびなやみを感じていたようです。
私はこの生徒に、ほかの先生のレッスンも受けてみるようにすすめました。
先生にもいろいろな個性や教えかたがあるので、あたらしい学びがあると考えたからです。
また、どの日本人ともスムーズにコミュニケーションが取れると分かればすこしは自信がつくのではないかとも予想しました。
私としてはその結果、“彼がちがう先生に乗りかえたくなってもそれはそれでいい” という気持ちで送りだしました。
そちらのほうが生徒のためになります。
しかし、彼は結局、すぐに私のところへ戻ってきてしまいました。
彼はいいました。
「先生によって個性がちがうのはよかったですが、その会話をとおして特別に学んだことはありませんでした」
「どの先生の授業を受けても効果が変わらないなら、すでに慣れている先生から授業を受けるのが楽です」
私はこれを聞いて、“彼とのレッスンは今後やめたほうがよさそうだな” と考えました。
この例も結局、私の実力不足が原因です。
とはいえ、彼がこのような姿勢でいる以上はいつまでたっても私のレッスンをとおして自信がもてることはないでしょう。
私も私でせっかくレッスンをするなら、 “先生の授業を受けると日本語力がのびる!” と体感してもらえる生徒としたいです。
ひとつめの例と同様に、この生徒にも私では力になれない旨を伝えておわかれしました。
値下げ交渉をしてきた生徒
私が日本語教師になってからかかえた生徒は214人です。
日本語を教えるプラットフォームとしてはitalkiを使用しています。
italkiでは教師が授業料を自由にきめられます。
新人時代は30分レッスンを300円で提供していました。
実績がついてきたいまでは1,300円まで値上げしています。
この授業料の変更を受けて、値下げ交渉をしてきた生徒がたったひとりだけいました。
彼からはある日、こんなメッセージがとどきました。
「あなたの授業が値上げされていることに気づいた。これからもあなたの授業を受けたいんだけどぼくのために値下げしてくれる?」と。
私はこのメッセージを見て “なんて失礼な生徒なのだろう” と感じました。
レッスンを受けたことがない生徒がいうのならまだわかります。
けれども、彼は私のレッスンをすでになんども受けています。
それでこの発言ということは「あなたのレッスンは30分1,300円の価値はない」といっているのと同じです。
たしかに30分1,300円という数字だけをみればたかくみえます。
しかし、実際には授業外でレッスンの準備をしたり教授法を勉強したりする時間も発生しています。
それらの時間もふくめて時給換算すると割にあっているとはいえません。
そのあたりの事情を理解してくれている生徒は「もっと授業料あげればいいのに!」といってくれるくらいです。
現状の料金に納得してくれている生徒がいる以上は、自分を安売りする必要はないと考えました。
値下げ交渉をしてきた生徒にはレッスン時間外労働がある旨を伝えました。
そして「この料金に納得してもらえないのであれば、ほかの先生を探してください」と別れを告げました。
あとがき
いかがでしたか?
教師が生徒をえらぶなんて冷酷すぎますよね…。
同業のかたには、おこられてしまうかもしれません。
でもやっぱり私はどうしても、生徒自身が納得してレッスンを受けられる先生と勉強すべきだと思うのです。
“この先生の授業を受けると日本語ののびを実感できる!”
“先生の授業にはもっとお金をだしてもいいくらいだ!”
私だったら、そんなふうに思える教師をえらびます。
当面はこのスタイルをつらぬいて日本語教師をつづけていくつもりです。
こんなつめたいスタイルでも意外とやっていけるもので、この仕事だけでも生計を立てられています。
月収についてはこちらにまとめました。
未読のかたはぜひご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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