こんにちは、フリーランスのちひろです。
本日のテーマは “日本語教師” です。
外国人に日本語を教えるなかで、生徒たちが間違いやすいポイントがわかってきました。
あたりまえですが、生徒は日本語を上達させるために勉強しています。
なので、改善点を指摘すると思った以上によろこんでくれるんですよね。
あらかじめ生徒がミスしがちな点を把握しておくことで、間違いを見つけやすくなります。
そうすると、授業のなかでスムーズに指導できるのでおすすめです。
今回は、日本語学習者が間違いやすい日本語のポイントをご紹介していきます。
外国人が間違いやすい日本語の文法
外国人がミスしやすいポイントひとつめは文法です。
以下では、具体例を3つシェアしていきます。
助詞の使いかた
日本語初級〜中級者がつまづきがちなのは『助詞』です。
助詞の例として「が」「は」「を」「と」「で」「の」「に」があげられます。
日本語学習者はどのように助詞を誤使用するのでしょうか?
たとえば、こんな感じです。
・昨日はおもしろい[の]本を読みました。
・日本語をたくさん[が]間違いました。
・それは意味がない[の]ことだと思います。
このように助詞をつけなくていいところにつけてしまうんですよね。
また、「に」と「で」の使いかたを混同するケースもよく見られます。
・車の中[で]カバンがあります。
・明日は図書館[に]勉強する予定です。
助詞をのぞいた単語や文の構造はあっているので、生徒がなにをいいたいのかはわかります。
ですので、重大なミスをおかしているわけではありません。
とはいえ、たった1文字ミスしただけでも聞き手からすると違和感がありますよね?
助詞の誤用がクセになってしまうと、あとから直すのはむずかしいです。
できるだけ早期に指摘してあげましょう。
自動詞と他動詞
次に間違いやすいのは『自動詞』と『他動詞』です。
そもそも、自動詞と他動詞はとても似ています。
外国人がミスしてしまうのも納得できます。
ふたたび、例を見てみましょう。
・消える(自動詞)ー消す(他動詞)
・閉まる(自動詞)ー閉める(他動詞)
これらの単語を混同して生徒はこのような文章をつくります。
・私は寝るまえにいつも電気を[消えます]。
・コロナウイルスのせいでレストランが[閉めています]。
助詞の間違いとおなじで、言おうとしていることはわかるんですよね。
ほかのボキャブラリーや時制の用法があっているだけに、すごくもったいない間違いです。
品詞の活用
最後にご紹介する文法間違いあるあるは『品詞の活用』です。
ここではふたつの例を見てみましょう。
動詞と形容詞の活用を混同
動詞と形容詞を活用するやりかたは別物なのに、ごちゃ混ぜにしている生徒がいます。
たとえば、こんな感じです。
・去年、日本で寿司を食べました。おいし[いました]。
形容詞の過去形なので「おいしかったです」とすべきところを、動詞の「食べました」にひっぱられているケースですね。
動詞の時制に混乱
動詞の複数の活用パターンを混同するケースもあります。
・私は3年前に日本へ行[く]ことがあります。
この例では過去の経験について話しているので、「行ったことがあります」とするべきです。
過去形にするのを忘れて「行くことがあります」と言ってしまうと、“ときどき行きます” という意味になってしまうんですよね。
生徒が間違った日本語表現をしても、ほとんどの場合は文脈から本来の意図が推測可能です。
今回の例では「3年前」というキーワードがあったので、過去について話しているんだと理解できました。
改善点を指摘するためには、前後の話の流れもふくめて注意深く観察する必要がありますね。
外国人が苦手な日本語表現
お次は日本語表現に関して間違いやすいポイントを見ていきましょう。
数助詞
日本語を勉強している外国人はたくさんの数助詞を覚えなくてはいけません。
数助詞は「枚」「個」「匹」「回」「皿」など、数字といっしょに使われるものです。
これらの数助詞も日本語学習者にとってはやっかいな存在です。
たとえば、「9ヶ月」と「9月」を混同するミスがあります。
・私の誕生日は[9ヶ月]です。
・日本語を勉強して[9月]になります。
また、「1時間」と「1時」も間違いやすいです。
・[1時間]から昼ごはんを食べます。
・家から学校まで[1時]かかります。
これは生徒にがんばって覚えてもらうしかないので、根気づよく訂正していかなければなりません。
「間」を使うことでまとまった期間をあらわせるんだよ!などと、正しく覚えるためのポイントも伝えてあげられるとベストですね。
呼称
アニメやドラマで日本語を独学している学習者におおいのが、呼称の誤使用です。
厳密に言うと間違いではありませんが、失礼な表現を失礼だと知らずに使っている生徒がいるのです。
たとえば私は、生徒に「おまえは元気か?」と聞かれたことがあります。
この生徒はアメリカ人だったのですが英語でいうところの「How are you?」と質問したかったのでしょう。
文法的にはなんの間違いもありませんが、ただ、おまえ呼ばわりはどう考えても失礼ですよね?
話を聞いてみると、彼は日本語をアニメで勉強したそうです。
日本語のアニメを英語字幕で見てフレーズをそのまま丸暗記していると言います。
その結果、「How are you?」=「おまえは元気か?」になったというわけです。
この生徒にとって「おまえ」は「あなた」と同類だったんですよね。
なかなか興味深い背景でした。
ちなみに、「あなた」を使いすぎる生徒に対してはどのように対処すべきでしょうか?
英語では日常会話で「Do you〜?」「Did you〜?」「Are you〜?」といった形で「you」を連発します。
しかし、日本の実生活のなかで相手を「あなた」と呼ぶ機会はほとんどありませんよね?
だいたい名前もしくは、先輩、後輩など特別な呼称を使っているはずです。
「おまえは元気か?」と同様に「あなたは元気ですか?」も文法的な間違いはありません。
けれども、“ネイティブの日本人が使っている日本語を教える” という意味では、「つねにYou=あなた」とも言いきれないですね。
あとがき
いかがでしたか?
外国人に日本語を教えていると、日本語教師には推測力ももとめられるということを実感します。
生徒がなにをいいたいのかを的確にとらえる必要があるんですよね。
あとは、生徒の間違いを笑わないのも大切です。
「いやいや、笑うわけないやん!ばっかじゃないの?」と思われるかもしれませんが、この笑いにはほほ笑みもふくみます。
生徒をバカにした笑いはもちろんですが「この間違い、可愛いなぁ〜ふふふ」的な笑いもさけましょう。
日本人にとっては愛想のつもりでも、バカにされているととらえる生徒もいます。
実際にそういう生徒がいたんですよね。
「以前、日本語を教えてもらっていた先生がいたけどきらいになった」と言うので、その理由を聞いてみました。
すると彼はこう答えました。
「前の先生はずっとニコニコしていて、おもしろがられている気がして不快だった」と。
この話を聞いて「日本人は必要以上に笑いすぎだ」とアメリカ人から言われたのを思い出しました。
私も笑ってごまかしたことがあるタイプの人間なので耳がいたいです。
こういうギャップがあるので外国人とのコミュニケーションはむずかしいですよね。
話が盛り上がって楽しいときはもちろん笑うべきですが、それ以外の場面では相手からの見えかたも意識しましょう。
外国人に文法を教えるときはこちらの記事も参考にしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント